座ることについての再考 -2009年

ガイアブックス発行日本語版。多量の生産から得られたテキストと実例を介し読者は、Opsvik(オプスヴィック)が座るというテーマおよび家具デザインについてどのように考えていたかの洞察を得ることができます。
 
 著者ピーター・オプスヴィックによる座ることについての再考
ISBN978-4-88282-730-6
 
人類は、地球上で数百万年にわたって、からだを活発に動かして生活を送ってきました。
しかし、ここ数世紀の間に、工業化によって多くの人々が活動的でなくなり、椅子に座る姿勢を取ることが増えてきました。現在ますます多くの社会で、椅子や座るための家具は、自宅、職場、学校、公共施設、等々の標準的な設備となっています。こうした座るための用具は、いわゆる「西洋式座法」に基づく、確立された椅子の常識に沿って作られました。
 本書では、これが人間の体にとって唯一の、かつ機能的にベストのデザインであるかどうか、という問題を取り上げています。人間工学のさまざまな権威がこぞって自分の唯一無二の「正しい」座る姿勢を推進するならば、それらはすべて正しいというのが彼の意見でした。推奨された座る姿勢はすべてよいものだったので、彼はできるだけ多くの座る姿勢を可能にする椅子をデザインし、体を動かしやすくして頻繁に姿勢を変えられるようにすることが自分の仕事であると考えました。
 本文と多くの製品から選ばれた実例を通して、座るというテーマに対するピーター・オプスヴィックの考え方を理解していただけるでしょう。そして、彼の家具デザインを特徴付ける哲学を知っていただけるでしょう。従って、本書はカラーやモノクロの図版を豊富に取り入れていますが、完全に隅から隅まで読んでいただくことを期待したものではありません。本書は、端的に言えば、職業的、教育的、個人的理由から椅子に興味があるすべての人々に役立つ情報を備えた、とても美しい参考資料なのです。
武蔵野美術大学 名誉教授
島崎 信

発行元/ガイアブックス   発売元/産調出版
 
 
著者Peter Opsvik(ピーター・オプスヴィック)について
 
1939年生まれのノルウェー人工業デザイナー。Bergen Kunsthandverksskole(現在ノルウェー国立ベルゲン芸術大学)およびStatens handverks-og kunstindustriskole (SHKS)(現ノルウェー国立オスロ芸術大学に統合)で教育を受けました。1970年フリーランスの工業デザイナーになり、現在は7人の仲間とともにオスロで自身のデザインスタジオを設けています。

彼は自由な発想の座り方を試み、ありきたりの座り方の習慣を打ち破る試みを行っています。彼の作品は、行儀よく、動かずに座るという基準がどのように打ち破られるかを示しています。

また彼は、北欧デザインの基準を満たす家具やオブジェの形の一部を変えるだけでは、意味がないと考えました。そういった性質の製品はもう世の中にたくさんデザインされていたからです。このスタイルの分野の両極端にある製品作りに取り組んでいます。一方の極では――人間の身体の要求に配慮しつつ――合理的、人間工学的側面に焦点を合わせたデザイン、もう一方のデザインでは造形表現に最も重点を置いています。
 
合理的な、人間工学に基づく製品で、オプスヴィックが目指しているのは、人間の身体を動かすことです。一方の極の製品やオブジェでは、主として人々の心を動かしたいと考えています。何十年もの間、彼は製造会社、ホグ(HAG)、スットケ(Stokke)、シリンドラ(Cylindra)と緊密に連携して仕事をしてきました。それら3社はすべて、ノルウェーをはじめ世界各国のデザイン賞を多数受賞しています。
 
2000年、家族とともに「大きな挑戦のための小さいな基金(The Minor Foundation for Major Challenges)」を設立しました。この財団は、人類によって引き起こされる気候変動を抑えようと努めている情報プロジェクトを支援しています。
2001年、デザイン団体ノシュク・フォルム(NorskForm)とともに、デザイン技術の開発援助と人道的援助に結びつける非営利プログラム「国境なきデザイン」の活動を始めました。
 
2000年度のトルステン&ワンヤ・ソデルベルグ賞(Torsten and Wanja Soderberg’s Prize)は、ノルウェー人デザイナー、ピーター・オプスヴィック氏が受賞した。氏の斬新な動きのある家具や調節のできる家具などと、自身が――遊び心のある、大胆な、人間的な発想から――長時間座らなければならない人々のために人間工学と美学をうまく発展させ続けている業績がその理由である。
―― Lasse Brunnstrom リョスカ工芸博物館長
 
デザイナーとして、彼は偉大な多才ぶりを発揮している。子供用椅子 “トリップトラップ”だけでなく、オプスビィックはバランス理論を用いた優れた椅子を生み出したデザイナーとして知られている。彼は世界で有数の作業用椅子のデザイナーであり、長時間動かずに座り続けることが必要な労働状況に対して、動きを以って解決をしようとしている革新的な実践者として、彼は勝る者はいない。また、環境に積極的に取り組んでいて、単なる言葉以上に実践的な活動がそれを示している。さらに、彼は詩的かつ音楽的なものを感じさせる審美的な家具を製作しているが、それは彼が現役のジャズ音楽家でもあることや、生活やデザインワークに遊び心をもってアプローチする彼の人物像と結びついている。
―― Lars Elton ノルウェージャーナリスト、評論家
 
オピスヴィックは、“形態は機能に従う”という機能主義の言葉に従って仕事しているデザイナーとして貴重な存在である。現在のノルウェーデザインの旗手たちは、成功という点から見てもオリジナリティーという点から見ても、オピスビィックの足もとにすら及ばない。
―― Erling Dokk Holm評論家(「Dagens Naeringsliv」紙掲載)
 
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